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憧れ

  • Reiko Yamazaki
  • 2024年7月3日
  • 読了時間: 2分

更新日:2月26日

絵は描くことは苦ではなかった。

しかし、小学校の頃、美術の時間に「好きな絵を描いて良い」と言われると、何を描いたら良いか分からず、周りを見て無難な絵を描いていました。

何故そんなことをしていたのか、改めて振り返ると時間が足りないこと、すぐに思いつかない、変だと思われたら嫌だと思って、本当にやりたいことをしていなかったのだと今になって思います。常に周りの目を気にしていたのだろう。

そんな私が、特に絵が上手く描ける訳でもなかった私が、絵を描きたいと思ったきっかけはいつくかありますが、その一つが憧れでした。


初めて憧れたのは、中学の時。

美術室の前に飾られていた先輩の作品でした。

全く面識がない先輩の作品でしたが、細かく丁寧に描かれていた作品で、毎日美術室の前を通る度に観ていました。



「こんな風に描いてみたいな」



理由はこれだけでした。


中学3年くらいに、あるきっかけで少しだけ絵を習ったことがありました。

初めての絵画教室は、お世辞にも綺麗とは言えないアトリエで絵具だらけだったことが衝撃的でした。

花瓶にドサっと花を入れて、「これを好きなように描いて良いよ」と言われました。

いつもの私だったら、周りを見て無難な絵を描いていたかもしれませんが、その時は何故か手が止まらなかった。不思議でした。

きっと大勢の人がいなかったり、黙々と絵を描いている他の生徒さんがいる教室だったので、初めて自由に絵が描けた瞬間だったと思います。

自分の感情を思いのまま絵にぶつけて、味わったことのない感覚を得ました。

絵はとっても荒削りで生き生きしていて、こんな一面もあるんだと自分のことながら驚きを隠せなかった。

この体験も一種の憧れだったと思う。


何十年も経ってから、当時あった絵画教室の前を通ることがあった。

ビルを見上げると、あったはずの教室は真っ暗でもぬけのからでした。

少し寂しいなと思いつつも、あの時、貴重な時間を過ごせてたことに感謝しました。

あの体験が無ければ、今の私は存在しないから。



大人になっても当時憧れていた存在や場所は、いつまで経っても変わらない。

そんなことを思った23時。





 
 

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